【地方競馬】帝王賞以外のJpn1、国際GⅡに昇格するのかしないのか

はじめに

注意!!

この記事は、競馬始めたての人が、正しいかどうかわからない情報を根拠に書いてます。
誤りなどあれば、ぜひ優しく教えていただけると幸いです。

GⅠとJpn1

競馬の国際格付けであるG1(Ⅰに変換するのがめんどいので以降はG1と書きます)は、地方競馬では2025年現在、東京大賞典でしか使われていません。
他のダートグレード競走には、国際的にはLR(制限付きリステッド)となる日本独自のグレードJpnが付与されています。

地方競馬では、2028年より段階的にJpnからGへの格付け移行を行う方針であるとされていますが1、レーティングや、海外馬の設備の問題など、移行に関わる問題は山積みの状態です。

Jpn1がG1になるには?

Jpn1の競走の中で、最もG1昇格に近いとよく言われるのは帝王賞です。
帝王賞がG1になるためには、どんな条件が必要なんでしょうか?

レーティング

APCによると、2023年現在、3歳以上の混合戦では、国際GⅠへの昇格にはレーティング115が、国際GⅡへは110が必須です2。おそらく今も変わってないんじゃないかと思います。

このレーティングは2種類あって、まず、年間競走レーティング(Annual Race Rating)は、その競走の上位4頭のレーティングの平均で求められます。

次に、パターン競走レーティング(Pattern Race Rating)は、3年間で記録した年間競走レーティングの平均です。

このうち、最新の年間競走レーティングと、パターン競走レーティングが、ともに基準を達成していることが、国際格付けを獲得するための条件の一部です。

近年の帝王賞の年間レーティングは以下の通りです3

年間レーティング
2023115.25
2024115.25
2025115.25

なお、2025年の年間レーティングは、2025年12月14日現在の、私が計算したものです。
算出根拠は以下に示しておきますので、誤りがあればぜひ教えてください。

2025年帝王賞年間レーティングの算出根拠

2025年帝王賞の上位4頭は、ミッキーファイト、アウトレンジ、ノットゥルノ、ディクテオンでした。この4頭が、2025年の初めから2025年12月14日の競走までで獲得した最高のレーティングは以下の通りです。

競走馬名レース名最高レーティング
ミッキーファイトJBCクラシック120
アウトレンジ帝王賞115
ノットゥルノ帝王賞(と佐賀記念)112
ディクテオン川崎記念114

ディクテオンのコリアCのレーティングだけ調べてもわかりませんでしたが、ひとまずこの4頭の平均をとってみると115.25となります。ありがとうミッキーファイト。

ということで、私の計算が合っていれば、帝王賞はこの基準を2025年現在達成できていそうです。2028年までキープできると(すぐG1にしてくれても)いいな。

開催条件

少なくとも2年間、同様の競走条件、賞金、および日付で実施されていることが必要です。

最近では、3歳ダート三冠路線の整備に伴い、2024年から羽田盃・東京ダービー・ジャパンダートクラシックに騙馬が出走できなくなりましたが、こういう系の変更が当てはまるんでしょうか。

いずれにせよ、こういった開催条件変更は、2028年までに余裕をもって行われるでしょうから問題ないと思います。

その他

あとは、新たに格付けを得る場合は、例外を除きG3からという記述がありますが、この例外はどこまで例外なのかわからないので考えないことにします。もし原則通りなら、そもそも早くG3にするべき。

Jpn1のレーティング

3歳以上の混合戦

帝王賞以外にも3歳以上の混合戦で行われるJpn1は複数ありますが、2024年現在4のレーティングは以下の通りです3

レース名出走条件パターン競走レーティング
川崎記念4歳以上112.33
かしわ記念4歳以上112.92
さきたま杯3歳以上(2024年より)110.92
帝王賞4歳以上115.58
南部杯3歳以上112.42
JBCスプリント3歳以上112.17
JBCクラシック3歳以上113.50

以上の通り、帝王賞のほかに基準である115を上回るパターン競走レーティングを持つレースはありません。

一方、すべてのレースでG2の基準である110を上回っています。

3歳以上牝馬限定戦

3歳以上牝馬限定戦では、レーティング111がG1昇格の、106がG2の基準です。

レース名出走条件パターン競走レーティング
JBCレディスクラシック3歳以上牝馬107.42

3歳限定戦

3歳限定戦では、レーティング113がG1昇格の、108がG2の、103がG3の基準です。
羽田盃、東京ダービーはダート三冠路線の整備のため、2024年からしかレーティングが載ってませんでした。

レース名出走条件パターン競走レーティング
羽田盃3歳牡馬・牝馬(2024年より)(106.50, 2024年)
東京ダービー3歳牡馬・牝馬(2024年より)(111.25, 2024年)
ジャパンダートクラシック3歳牡馬・牝馬(2024年より)112.33

G1の基準を満たすレースはなく、羽田盃は2024年の年間レーティングがG2の基準も満たしていません。

3歳牝馬限定戦

3歳牝馬限定戦では、レーティング109がG1昇格の基準です。
現在該当するJpn1競走はありません。

2歳限定戦

2歳限定戦では、レーティング110がG1昇格の、105がG2の基準です。

レース名出走条件パターン競走レーティング
全日本2歳優駿2歳105.50

G1の基準は満たしていませんが、頑張ってキープすればG2の基準は満たしています。

2歳牝馬限定戦

2歳牝馬限定戦では、レーティング106がG1昇格の基準です。
現在該当するJpn1競走はありません。

レーティングが足りない競走を国際G2にすべきかどうか

以上のように、2024年までのレーティングを見ると、帝王賞以外のJpn1で、国際G1格付けを取得するための基準を満たしているレースは一つもないことがわかりました。

レーティングが足りていないJpn1競走の扱いについて、主に次の2つが考えられると思います。

  1. 国際格付けを申請せず、Jpn1のままレーティングの上昇を待つ
  2. いったん国際G2を取得したうえで、G1相当のレーティング基準達成を待つ

この2つのうちどちらがいいのでしょうか。

国際G2に昇格した場合のメリット・デメリット

メリット1: レース格付けの一本化

Jpn格付けをなくす最大の目的と言っていいでしょう。JpnとGが混在しているのは何かと混乱を呼びます。

メリット2: 国際的に正当な格がつく

国内では最高峰のレースとして位置付けられるJpn1も、国際的にはLR(制限付きリステッド)です。G2レースは最高峰とは言えないかもしれませんが、少なくとも国際機関に認められた格の高いレースであることは証明できます。

メリット3: 海外馬の出走が多少は見込める

強力な海外馬が遠征してくれれば、当然地方ダート界は盛り上がりますし、レーティングの向上も見込めるかもしれません。

ただ、東京大賞典は2011年から国際G1として開催されていますが、2024年までに出走した海外馬は2014年のソイフェットのみです。この辺りは正直賞金額などの問題もあるでしょう。みんなアメリカサウジドバイに行くもんね。

デメリット1: 国内からは「格下げ」に見える?

「ジーワン」から「ジーツー」になることで、格下げ感が生まれます。

現在日本のダートG2はプロキオンステークスだけですが、例えばJBCクラシックと同等のメンバー感かと言われると…

デメリット2: 芝とダートで格の上下関係が生まれてしまう

デメリット1に付随して。帝王賞がG1に昇格したとして、日本のダートG1は、既存のフェブラリーS、チャンピオンズC、東京大賞典と合わせてわずかに4つにしかなりません。
ここからJpn1がなくなり、G2が爆増するわけですから、ダート路線がかえっておろそかになってしまう可能性はあるかもしれません。強い馬が逆に海外に行ってしまうかも。

G2(Jpn1)みたいにすることは可能か?

折衷案として、コリアカップ(国際G3/韓国G1)みたいに、国際G2とJpn1を併記する方法は可能なんでしょうか。

疑問点や懸念点は2つあって、

  1. 韓国はパートⅡ国であり、日本はパートⅠ国である。
    日本のパートⅠ国への昇格に伴って、格付け周りの制度が変わって現在の状況に至っています。
  2. 最近、オーストラリアがアジア競馬連盟(ARF)の許可なくG1レースを増やしまくって怒られました6。パートⅡ国への降格もあり得るとかなんとか。
    Jpn格付けが世界からどんな風に見られているのかよくわからないんですが、Jpn格付け自体、国際的にはリステッドだよって言ってるからギリギリ許されてる感があります。ここでG2(Jpn1)なんて併記したら、さすがにアウトと言われかねないのが怖い。
    まあオーストラリアと違ってそのJpnの段階的な廃止の流れだからしゃーなしとなる可能性もあります。

Jpn1をG1にするためにはどうするのか

国際厩舎とかそういう、やればできる設備的な問題を除くと、Jpn1がすべてG1に昇格するための最大の壁はレーティング不足だと思います。

レーティングを上げるにはどうすればいいのか。強い馬をできるだけ多く出走させることです。
強い馬をできるだけ多く出走させるためにはどうすればいいのか。安直に考えると、これはたぶんお金なんじゃないかと思います。

もしお金で解決するなら

賞金額を上げる

エバヤンやロマウォなど最強ダート馬がサウジに行ったりドバイに行ったりするのは、まずは賞金額が高いということが理由として挙げられると思います。
サウジCは1着賞金1000万米ドル、15億円超え。ドバイWCは1着賞金696万米ドル、10億円超です。

私は競馬を見始めてまだ日が浅いですが、中東の経済事情を考えると、日本もこれくらい出せというのは無茶だということくらいはわかります。

国際招待競走にする

別の手段として、国際招待競走という形でお金を使うことが考えられます。

賞金額が高いことは海外遠征の最も重要な項目ですが、大敗すれば遠征費用を補うだけの賞金は手に入りません。遠征費用を確実に出してもらえるならば、海外から参戦するハードルも下がるんじゃないでしょうか。
ただ、これに関してはサウジCやドバイWCも国際招待競走なんですよね…
そもそもレースの賞金額が少なければ、遠征費を出してもらってもわざわざ日本に来る必要ないですし。

最後に

とにかく強い馬が出走したくなるようなレースにする必要があることに間違いはありません。

もちろん、2028年までにレーティングを上げて、すべてのJpn1レースを国際G1に格上げすることが理想ではあります。

現状のままでの達成は確かに難しいかもしれませんが、それでも目標のレーティングまでの差はそこまで大きくありません。
段階的にレースの格を上げていくことで、最終的に国際G1にできる可能性は高いと思います。

目指せ、芝・ダート大国ジャパン。


  1. https://www.keiba.go.jp/pdf/uploads/20221128_02.pdf ↩︎
  2. https://nztr.co.nz/sites/nztrindustry/files/2023-10/Revised%20APC%20Ground%20Rules%20Oct%2023.pdf ↩︎
  3. https://www.keiba.go.jp/pdf/uploads/20250121_02.pdf ↩︎
  4. 各馬の成績を見てレーティング探して計算するのがめんどくさかったです、ごめんなさい…
    年明けには2025年の年間レーティングについても発表ありますので、気が向けば更新します。 ↩︎
  5. https://www.keiba.go.jp/pdf/uploads/20250121_02.pdf ↩︎
  6. https://www.jairs.jp/sp/contents/w_news/2025/47/2.html ↩︎

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